2016-05-12 09:00:00

☆メンタルトレーニングって、ホントに効くの?☆

 当教室へのご要望として、メンタルを強化して欲しいというお言葉を頂くことがあります。

自分に負けそうな場面で立ち向かう姿勢を持った子どもに育って欲しい...そんな保護者の方の願いを痛感する場面があります。

しかし、筋肉の強さやスピードなどと異なり、結果が見えづらいメンタル力、精神力。そもそも「心」をどのように捉え、そして、いかに鍛えていくものなのか。

メンタルトレーニングの目的や重要性の解説より、子どもの「心」をどのように育てるのか、考えていきたいと思います。

 

【メンタルトレーニングの目的】

「メンタルトレーニングをすれば勝てるのか?」こう口にする人が少なくありません。メンタルトレーニングがパフォーマンスに好影響を及ぼし、勝利につながることは、無論ありますが、ならば必ず勝てるかと問われれば、否、トレーニング根本の目的は違うところにあります。本来持っている実力を試合などで十分に出し切る、そのための訓練こそメンタルトレーニングなのです。

 

【覚醒レベルとパフォーマンス】

過度な緊張に陥った場合、逆に緊張感が足りない場合、いずれも高いパフォーマンスは期待できません。ヤーキーズとドットソン(アメリカの心理学者)の「逆U字曲線」が著名ですが、これはパフォーマンスと覚醒レベルの関係を表したもので、適度な覚醒レベルにあってこそ最良のパフォーマンスが発揮できることを示しています。ちなみに、この覚醒レベルは万人に共通するものではなく、そこに当然個人差があり、また競技の特性によっても適するレベルは異なります。

こうした緊張感の過不足を緩和するためにメンタルトレーニングでは、深呼吸やストレッチなどによるリラクゼーション、円陣を組んで大声を出す、音楽を聴くなどのサイアップが用いられます。また、ラグビーの五郎丸選手(ヤマハ発動機ジュビロ)で有名になったルーティンもメンタルトレーニングの技術の一つです。失敗したらと考えるなど、他に意識を向けない技術で、ルーティンを取り入れることで余計なことを排除します。余計なことを考え、緊張すれば動きも速くなる。いつもと異なるのですから、失敗する確率も高くなります。 人間は一つのことしかできないという特性を、ルーティンを取り入れることで生かしているわけです。他にも、例えばメジャーリーガーのイチロー選手(マイアミ・マーリンズ)の打席での一連の動作も同様、自分のものとなって初めてルーティンも意味を持ってくるのです。 

 どうすれば自分で自分をコントロールできるのか。カーッと頭に血が上ったらどうすれば抑えられるのか。上がりすぎも良くありませんが、上がること自体は悪くない。むしろ、適度に緊張がなければ良好な結果は期待できません。大切なのは、そうした状態に気づくこと、「自己への気づき」、これこそとても重要なことなのです。ですから、最もいけないことは、言われるままの人任せ状態。ジュニア世代などでは指導者に言われたことだけに従いがちですが、そのまま進めば上のレベルで自分では何もできなくなる危険性もあります。最終的に自分を動かすのは自分でしかありません。

 

【メンタルトレーニングで最も重要なこと】

さて、メンタルトレーニングで最も重要なことは、まず目標設定(ゴールセッティング)を行うことです。目標があるからこそ人間は行動することができます。「明日は頑張る」、これだけでは目標を達成するのは難しいでしょう。明確な目標を立て、そのために、明日、今週、今月、そして、2年後、3年後に向けて具体的にやるべきことを整理しておくと、モチベーション高く臨め、競技性も高まります。一流の選手ほど目標設定も明確で、そして達成能力も高まります。

目標設定ができればリラクセーションやサイキングアップなど、その都度やる意味がわかってきます。さらには、イメージトレーニングで頭の中で理想的なパフォーマンスを描くことも組み合わせ、大脳にいろいろな情報をインプットすることができます。運動を始めたことはバグ(誤り)が非常に多い状態で、そこからトライ&エラーを繰り返すことでバグがなくなり、運動の質がグッと高くなるのです。そして、イメージトレーニングを生かせるようになると練習の幅も広がります。大勢が見守る中で堂々とプレーする、イメージトレーニングしてから練習に臨む習慣が大切になります。

 

【スポーツとストレス】

プレーする前のドキドキ感をはじめ、スポーツはとてもストレスに満ち溢れています。いかに、このストレスをコントロールするか、それこそスポーツであり、メンタルトレーニングであると置き換えてもいいでしょう。スポーツは頭を使うことがいっぱいあります。ゆえに年を取ってもいつまでも楽しめるのです。運動部活動をやっている生徒はやっていない生徒よりも時間管理能力が高くなると言われることもあります。運動やスポーツというと身体ばかりに目が向けられがちですが、心の重要性を忘れないようにしたいものです。

 

解説/遠藤俊郎:山梨学院大学スポーツ科学部学部長、日本体育協会公認バレーボール上級コーチ、日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング上級指導士